2018/03/01
ごきげん、いかがですか?
佐賀県唐津市に鎮座されている唐津神社。
その秋季例大祭として全国的に知られているお祭りが「唐津くんち」です。
毎年11月2日の宵ヤマで幕を開け、3日のお旅所神幸、4日の翌日祭と続きます。
各町が意匠をこらして製作した14台の曳山(やま)は、全国でも類を見ない造形で人気があります。
2016年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、「唐津くんちの曳山(ひきやま)行事」を含む18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」を、無形文化遺産に登録することが決定しました。
この記事は小さいころから唐津に住み、唐津くんちを見てきた私の独断の想いとして書いています。
あくまでも考え方や感想は、個人のものであることを明記しておきます。
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曳山囃子に揺さぶられる魂
曳山囃子の音色を聴くと、自然と体が動き出す。
血が騒ぐという方も多いと思います。
もちろん私も、その一人です。
これはまさに遺伝子レベルで組み込まれた、曳山への想い。
飽きることがないエンドレスの心地よいメロディは、曳山の台車に乗っている幼子が眠りにつくほどです。
経験がある方も多いと思いますが、気が付くと指で机などを「トントン」と叩いたり、口笛で囃子のメロディを奏でていることがあります。
唐津っ子は大人から子どもまで、曳山囃子を聴くだけで魂が揺さぶられるものです。
他に類を見ない、見惚れるほどの曳山の造形美
1番曳山の赤獅子が製作されたのは、およそ200年前。14番曳山の七宝丸の製作がおよそ140年前です。
江戸後期から明治へと変わっていく激動の時代。
唐津のご先祖様たちは、獅子や鯛、兜、亀や龍、鳳凰などのオリジナリティ溢れる曳山の姿を製作されました。
全国を見ても、これだけ完成された祭りの山車の造形は珍しいと思います。
もちろん、各地の祭りにも先人たちの思いが込められ、素晴らしいものであることは間違いありません。
とくに唐津の曳山は、完成当時の姿を今に伝えていることに大きな意味があると思います。
製作された背景には当時の事情があると思いますが、これだけの曳山を作るのには資金も必要になります。また、卓越した技術も使われています。
唐津神社の秋季例大祭として、自分たちの町の誇りとして今のような曳山を製作され、残してくださったことに心から感謝せずにはいられません。
そのおかげで、現代に生きる私たちも「唐津に生まれてよかった」と思えるのですから。
団結力、そして固い絆
唐津くんちの本番は、11月2日~4日の3日間がよく知られています。
ただ、それ以外にも一年を通した行事が多く行われています。
正月の囃子初め。4月の春季例大祭。夏の幕洗い行事。10月の初くんち。本殿祭。
いろんな行事を執り行い、支えているのも町内をはじめとする曳山関係者の方です。
もちろん町内の方にとってはそれだけではなく、日ごろ行われている四季折々の町内行事も中心となって活動されています。
仕事が休みの日は、町内や地域の行事。
「それをあわせると、ほとんど自分の時間なんてないよ」と、笑顔で語る友人がいます。
でも、その顔や語り口はどこか嬉しそうでもあります。
きっと、くんち行事をはじめ地域の中核となって活動されていることに、誇りと満足を持っていらっしゃるからだと思います。
活躍されているのは男性だけではありません。
くんち料理はもちろん、普段の生活の中にも女性のチカラがあるからこそ成り立つものも多く、女性がいてくださるから男性は安心して自分たちの活動を行うことが出来ます。
男と女。
大人と子ども。
強い団結力と、厚い信頼。
そして仲間との固い絆があるから、今も世界に誇る唐津くんちが息づいているような気がします。
生活の中に密着している唐津くんち
唐津に住み、曳山のある校区で生活していると、日常のいろんなことに唐津くんちというキーワードが出てきます。
たとえば10月に入り、夜に冷たい風が吹いてくると「くんちの近づいてきたね。」という会話が増えてきます。
また、朝が冷え込むと「宵ヤマの朝も寒かろうね。」という話題にもなります。
そして、福岡の中心部やコンサート、イベントなどに出かけて人混みに行くと、「こやん人の多かとは唐津くんちのごたる。」と、ついつい唐津くんちの人出と比較してしまいます。
私が小学生から高校生くらいの頃には、教室の後方にある黒板や自分の机に「くんちまで、あと◯日。」とカウントダウンしていました。
学校に笛を持って行き、休み時間や昼休みに吹いて先生に叱られたことも数知れず。
台車で重いものを運ぶ時の掛け声は、「エンヤ、エンヤ。ヨイサ、ヨイサ」。
市内の幼稚園や保育園では、ミニ曳山を作ってミニくんちをされているところも多いと聞きます。
小さい頃から日常にある、曳山と囃子の音色。
先祖代々、受け継がれてきた宝への愛着。守り継がれてきた曳山への愛情。
厳しさの中にある、伝統を受け継ぐ覚悟。
後世へ伝える想い、技術、しきたり。
こうしたいろんな想いが、唐津くんちに込められています。
私は仕事の都合で、3日間を通して見学することが難しくなってきました。
でも、10月になって町々から曳山囃子の練習の音色が聞こえてくると、体も心もソワソワします。
11月2日は朝から仕事が手に着きません。
11月5日になると、あと363日か・・・と心の中でカウントダウンしています
「やっぱり唐津くんちが好きなんだな」と、唐津っ子である自分を嬉しくも思います。
皆さんも、是非楽しんでみてください。
それでは、ごきげんよう。
コメント
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