2018/03/01
ごきげん、いかがですか?
佐賀県唐津市に鎮座されている唐津神社。
その秋季例大祭として全国的に知られているお祭りが「唐津くんち」です。
毎年11月2日の宵曳山で幕を開け、3日のお旅所神幸、4日の翌日祭と続きます。
各町が意匠をこらして製作した14台の曳山(やま)は、全国でも類を見ない造形で人気があります。
今回は唐津くんちを見学される方のために、見る人の観点からご案内します。
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日程と巡行コース
唐津くんちの日程は、毎年11月2日から4日まで。
これは曜日の配列に関わらず、毎年変わりません。
以前は10月29日を中心に開催されていましたが、現在は本殿祭という神事が執り行われています。
詳しく見ていきましょう。
宵曳山
11月2日 午後7時30分に唐津市の大手口を出発
曳山は各町内で待機しているため、大手口より東側にある町の曳山は、巡行コースに入りやすい交差点などから順次合流します。
大手口より西側にある町の曳山(6台)は、赤獅子から建制順に出発します。
一番曳山である刀町の赤獅子が大手口を出発するときには、曳子も観客もテンションは最高潮。
近年は宵山の人気が高く、平成26年は20万人を超える方が訪れたそうです(唐津市観光課発表)。
そのため、私個人の意見としては大手口より東にある材木町や船宮など、比較的観客が少なめの場所で見るほうが、落ち着いて見学できると思います。
曳山の進路は東町の宮島醤油の角で西に折り返し、再び大手口や内町を通って江川町方面へと向かいます。
その後は朝日町や坊主町を通って、現在の曳山展示場があるアルピノへ。(2024年のコース)
宵曳山の魅力は何と言ってもその美しさ。
提灯の灯りに浮かぶ曳山の姿。澄んだ秋の夜空に響く囃子の音色。
まさに一年間の眠りから覚め、これから動き出そうとする勢いを直に感じます。
唐津っ子が一番ワクワクする瞬間かもしれません。
お旅所神幸
11月3日 午前9時30分に唐津神社前を出発。(2024年のコース)
唐津神社の神輿を中心に、14台の曳山が供奉して城下町を巡行します。
曳山は大手口を抜けて東進し、内町から外町へ。
宮島醤油の角で折り返し、再び大手口方面へと向かいつつ外町~内町へと巡行。
その後、正午からお旅所のある西の浜への曳込みが行われます。
重量感のある曳山が車輪を砂地にめり込ませながら、力いっぱい曳き込む光景は圧巻です。
午後3時から曳出しが行われ、巡行コースの西側にある江川町を通過したあと、曳山は各町内へと戻ります。
3日の醍醐味は、やはり御旅所への曳込みと曳出しです。
見学する場所としても人気が高く、早い時間から多くの方が詰めかけています。
どうしても御旅所での曳込みを生で見たい方は、午前中の東回りのコースの見学を早めに切り上げておくのがよいかもしれません。
曳山は正午になるまでは北坊主町の交差点から坊主町の交差点の間に、南北に連なって並んでいます。
時間ギリギリに御旅所へと向かわれる方は、この場所を避けて別の通りから御旅所へ向かうことをオススメします。
翌日祭
11月4日 午前10時に唐津神社前を出発。(2024年のコース)
この日は神輿は出ず、3日とほぼ同じコースで14台の曳山が巡行します。
途中12時30分にJR唐津駅前の米屋町通りに勢ぞろいし、一堂に並ぶ姿を見学することができます。
休憩のあと午後2時30分に曳き出され、平野町~新町~刀町を通って大手口へと出て、江川町方面へと向かいます。
江川町通りで休憩したあと、朝日町~坊主町を通って、現在の曳山展示場があるアルピノへ。
名残惜しまれながら格納され、また一年間の眠りにつきます。
この日は曳き子の祭りとされ、待ちに待った唐津くんちを思いっきり楽しむ姿を見ることができます。
お役立ち情報とアクセス
唐津くんちが行われるのは、唐津神社を中心とした旧城下町。
市外や県外からの方は、JRが一番便利です。
市の中心部は曳山の巡行に従って交通規制が行われ、一度渋滞にハマるとなかなか抜け出せません。
唐津駅で下車されると、唐津神社まで徒歩10分です。
JRの利用
福岡方面からは福岡空港・博多・天神エリアを通る福岡市営地下鉄と、JR筑肥線が相互乗り入れしています。
そのため唐津行き、もしくは西唐津行きに乗車すれば、福岡市の中心部から70分~80分ほどで唐津駅に到着できます。
他に筑前前原行きもありますが、こちらもほとんどの列車が唐津行きに接続しますので便利ですよ。
佐賀方面からはJR唐津線が利用できます。
佐賀駅から唐津方面へは1時間に1~2本発着しています。
こちらも所要時間は70分ほどです。
バスの利用
福岡方面からは高速バスも出ています。
博多・天神と唐津を結ぶ「からつ号」は、70分ほどの乗車時間で快適に運んでくれます。
時間帯によっては1時間に2~3本発着していますので、オススメですよ。
ただし、唐津くんち期間中は通常利用されている大手口バスセンターが使えなくなります。
そのため昭和バス本社前の臨時バス乗り場の発着になりますので、ご注意ください。
マイカー利用
マイカーで唐津へ来られる方は、時間に余裕を持った行動がオススメです。
市内に臨時駐車場は設置されますが、2日や3日は早い時間に満車となるケースが多いようです。
駐車場の種類によって、24時間営業のものや開設時間が決まっているものがありますので、くれぐれもご注意ください。
観光案内所
常設の唐津駅総合観光案内所をはじめ、期間中は臨時の案内所が設けられます。
- 唐津駅総合観光案内所(常設) 2日~4日
- 肥後堀横(市役所東側)(臨時) 2日~4日
- 御旅所(臨時) 3日のみ
それぞれ開設時間が異なっていますので、詳しくは唐津駅総合観光案内所(0955-72-4963)へお問い合わせください。
唐津観光協会のホームページにも詳しく記載されています。
個人的な見どころ
何十年も唐津くんちを見続けている私がオススメするポイントをご案内します。
なお、3日間の巡行コースは毎年変わりません。
2日の朝ヤマが人気
11月2日は宵曳山と呼ばれる前夜祭のようなもので、曳山の巡行は夜の7時30分からです。
この日は曳山展示場から、一旦各町内へと曳山が帰ります。
唐津っ子の間では「朝ヤマ」と呼ばれ、近年は見学する方も増えてきています。
早い町内では朝の5時頃から曳き出され、各町内へと向かいます。
朝まだ暗い中、あるいは朝日が昇る中での曳山の姿は、これから始まる唐津くんちへの期待を大いに高めてくれますよ。
一か所で何度も見る
曳山の巡行コースは東西に長く、約8キロあります。
曳山を持つ町内を通り、現在の道路事情もあることから何度か曳山が通過するポイントがあります。
とくに大手口周辺はオススメです。
詳しいコースは、巡行図を参考にされてください。
(2024年の巡行図。唐津観光協会ホームページより)
曳山が14台通過するのに約50分かかります。
そのため大手口で曳山を見学した後しばらく待つと、東回りから折り返してきた一番曳山が、ほどなくして大手口方面へ戻ってくるタイミングとなります。
もちろん途中で休憩もあるため、すぐにまた見られるというわけではありません。
でも、あちこち移動するより一か所で楽しみたいという方にはオススメですよ。
各町のお囃子に耳を澄ませてみる
14台の曳山は、各町によってお囃子に特徴があります。
基本となるのは「せりばやし」と呼ばれるものですが、太鼓のたたき方や笛の音色・調子に違いがあります。
とくに特徴のある町がいくつかありますので、聴き比べてみてはいかがですか。
軽快な調子や、ゆったりしたリズム。
曳子のテンションを最大まで高めるのに、お囃子も大切な役割を担っています。
唐津の街では10月に入ると、各町でお囃子の練習が始まります。
小さい子供から高校生まで、大人たちが心を込めて指導されている姿は伝統そのものと言えます。
注意事項
唐津くんちの曳山巡行に関しては、次のような注意事項があります。(唐津市ホームページより)
- 公共交通機関または有料駐車場、臨時無料駐車場のご利用をお願いします。
- 警察官や曳山関係者の指示に従ってください。
- 巡行中は曳山や綱に近づかないでください。また曳山に並行して歩いたり、ついて歩いたりしないでください。曳山のすぐ後ろを歩かれるとかじ取りの妨げとなります。
- 曲がり角では特に危険ですので、巡行路(道路)を広く開けてください。
- 曳子が道いっぱいに広がって走ってきます。危険ですので歩道から身を乗り出さないでください。
- 巡行路への侵入は禁止です。
- 路上に座り込んでの見物は、足などが接触し大事故の危険がありますので禁止です。
- 事故の原因になりますので自撮り棒の使用は禁止です。
- 曳山の巡行ルート上や唐津神社周辺でのドローンなどの飛行は禁止です。
安全に楽しく、見る側もマナーを守って唐津くんちを満喫したいですね。
詳しくは唐津市のホームページをご確認ください。
ひとこと
エンヤエンヤ、ヨイサヨイサの掛け声が晩秋の城下町に響き、唐津の街は少しずつ季節が移ろいで行きます。
老若男女、唐津くんちに関わる方たちは心から曳山を大切にされています。
その心意気が、見る人に感動を与えてくれると私は思います。
地域が守ってきた伝統と宝。唐津に来ると、それを肌で感じることができます。
静と動が織りなす時代絵巻のような唐津くんち。私も楽しみにしています。
なお、最新の情報は唐津市ホームページまたは唐津観光協会のホームページにてご確認ください。
それでは、ごきげんよう。